介護現場で増加する金銭トラブル例

高齢者介護は大きな社会問題ですが、その裏側にあるのが金銭トラブルです。
介護の問題とお金の問題は切り離して考えることができず、在宅であっても施設を利用する場合であっても、必ずシビアなお金の話をしなくてはいけない場面が出てきます。

まず介護に関する最大の金銭トラブル事例として「介護にかかる費用負担」があります。
自立した生活を送ることが困難になってしまった高齢者の場合、家族に家事を依頼したり買い物を頼んだりということになってくるでしょう。

近くにそうした介護をしてくれる家族がいない場合にはヘルパーさんなどを頼まなくてはいけませんが、そのための金銭をどう負担していくかということが問題になるものです。
家族の間で誰がどのように負担をしていくかが大きな問題になることも多く、兄弟や親類同士で押し付け合うというようなことも珍しくありません。

最近では老後の生活を真剣に考えてあらかじめ備えている高齢者もいますが、そうした蓄えを狙う詐欺グループもいるので注意が必要です。
「もしもの時に施設を利用できる権利」を販売して高い金銭を支払ったのに、いざ必要になってみたらその会社は既に廃業していたというようなこともあったりします。

他にも小さなトラブルとしては、ヘルパーさんに買い物を頼んだらそのお金を着服されたというようなことや、深刻になると寝たきりの高齢者の銀行口座を勝手に横領していた、というようなこともあるのです。

高齢者の場合、認知症により正常な判断ができなくなってしまうこともありますので、あらかじめ防衛対策をとっておくことが、本人にとっても家族にとっても必要となるでしょう。

介護に関するトラブルへの対処方法

介護に関する金銭トラブルで最も怖いのが、本人の意思とは関係なく勝手にお金を使われてしまうということです。
世知辛い世の中ですが、仮に実子などの近い家族であっても、お金がからむと自分の利益ばかりを優先することはよくあります。
ですので意識がしっかりしている場合は簡単に全財産を預けるということはせず、介護用の口座を使ってその範囲で任せるなどの対策をとっていくようにしましょう。

また病気により急に判断力が低下することも考えられるので、「成年後見制度」を利用するというのもおすすめです。
「成年後見制度」というのは大きな買い物や取引をする時に本人に代わって代理人がその判断を行うというもので、あらかじめ指定をしておくことが可能です。

成年後見人は家族を指定することもできますし、弁護士など第三者に依頼をすることもできます。

介護にかかる費用が不足している時には、リバースモーゲージなど限定的に融資を受けられる制度もあるので、安易に借金などしないようにしてください。